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花粉症について学びましょう

About hay fever

■花粉症の原因

花粉症は、日本では最も発症している人が多いアレルギーである。花粉症といえば、スギ花粉と思うかもしれないが、花粉症の70%はスギ花粉が原因と言われている。2023年は特にスギ花粉の飛散量が多くなっている。しかしスギだけでなく、さまざまな植物の花粉でも花粉症を発症する可能性がある。

実際に、花粉症の原因となるか否かは、飛んでいる花粉の量や、飛ぶ距離も重要な要因となる。

スギは北海道を除く日本の山中に大量に植林されており、1本のスギの樹から2~5kgの花粉が飛ぶ。

さらに高木が多いということもあり、風に乗って飛散(風媒花という)ことから、花粉症の原因になりやすい。この条件はヒノキにも当てはまる。西日本や四国、九州ではスギと同等以上にヒノキが植林されている。スギは2月~4月に飛散のピークを迎えるが、ヒノキは3月~5月に掛けてピークを迎える。スギ花粉とヒノキ花粉のアレルゲン(アレルギーの原因タンパク質)は似たような構造であるため、両方の花粉に反応する人も多く、長い場合では、年明けからゴールデンウイーク頃まで花粉症を継続してしまう可能性がある。上に示したスギ花粉の直径は0.03mmである。

■北海道には別の花粉症がある

北海道はスギ、ヒノキが植林されていないが、シラカバ、ハンノキによる花粉症の方が多くいる。ほかにもハンノキ、シラカバ、コナラ、クリ、ケヤキ、イチョウ、オリーブなど様々な樹木で花粉症になる人もいるし、樹木以外の草の花粉が原因で花粉症になる人も多くいる。カモガヤやオオアワガエリといったイネ科の植物や、ヨモギやブタクサのキク科の草も多く知られている。イネ科の花粉は5月~6月の晩春から初夏にかけて、キク科の植物は8月~10月の秋に多く飛散する。

​ただ樹木の花粉と異なり、大量に、広範囲に飛散することはないので、花粉症の人は少ない、春だけでなく、それ以外の季節で開花する、イチゴ、リンゴ、バラ、ウメなどでの植物を栽培している農業を営む人に起こる一種の職業病と言える花粉症もある。このように花粉症の症状が出る人は、医療機関でアレルギーの原因を調べると良いでしょう。

■花粉症は増えている

日本国内では、ここ数年で花粉症がどんどん増えている。1963年に初めてスギ花粉症が報告されて60年が経つ。この時に20名ほどがスギ花粉症とされたが、現在では人口の3/1(約4,000万人)がスギ花粉症と推定されている。この急激に増えた原因として考えられるのが遺伝的要因である。アレルギー体質は遺伝することが報告されている。

簡単に言えば、両親や近親者がアレルギーであれば、アレルギーになりやすい。こればかりは、治しようがない。ただし急激に遺伝子が変化するとは考えにくく、環境的要因が大きいと言われている。

​環境的要因としては、スギ花粉の飛ぶ量が増えたことに原因がある。昭和40年代から建築材の需要に合わせてスギやヒノキが大量に植林された。これらが花適齢期を迎え、さらに地球温暖化の陰によって免疫が弱くなる、工場やディーゼルの排気により大気汚染やPM2.5など、色々な要因が複雑に絡まっていると考えられている。

花粉サーチ・花粉データベース(https://mooc.ha.shotoku.ac.jp/kafun/)」

■花粉は種類によって形や大きさが異なる

​花粉は植物によって形や大きさが違っており、専門家は花粉を見れば、何の植物かすぐに分かる。旧い地層からみつかった花粉の化石から当時の機構を予想することもできる。植物の種類によってどれほど形が変わっているのかは、上の写真を見ていただければ、すぐに分かる。

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